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インバウンドの拡大を背景に、観光客の多い首都圏や関西圏だけでなく地方でもホテル開発が加速している。
東京オリンピック以降の供給過剰が懸念されているものの、札幌・名古屋・福岡などの地方都市では、それでも客室数が不足すると試算されている。また地方都市は新規に開業するホテルの多くがビジネスホテルで、富裕層インバウンドを上手く取り込めておらず、いかに幅広く顧客のニーズに対応していくかが課題になっている。日本国内の外国人の宿泊者は東京23区、大阪市、京都市と多いが、団体旅行から個人旅行やリピート客にシフトしており、訪問地は大都市から地方都市へと拡大している。2015年以降は地方都市の宿泊者の合計が主要3都市を上回っていることからも、今後もその流れは続くとみられている。
このような現状の中、ビジネスホテルがあふれている日本国内では、富裕層をターゲットにした4つ星以上のラグジュアリーホテルや1泊10万円以上のホテルは少ない。なかでも外国人に人気の観光地である北海道・札幌には、4つ星以上のホテルはなく、これほどまでに有力なマーケットなのに4つ星以上のホテルがないというのは非常に珍しいといえよう。フルサービスの4つ星以上のホテルを建設するには敷地面積などさまざまな条件が必要で、北海道での開業が進まないというが、ラグジュアリーホテルが別ブランドとして進出しているブティックホテルも都内や大阪・京都等でしか開業されていない。
一方で、中国・韓国からの訪日客の多い九州の玄関口である福岡市では、大名小学校の跡地に2022年末、5つ星のザ・リッツ・カールトンホテルが開業予定だ。福岡では、そもそものマンション地代家賃が安く、客室単価4~5万円を取れるマーケットなのか長らく議論がされてきた。リッツ・カールトンホテルの進出で検証されることになるのだが、リッツカールトンが日光や福岡に進出することが成功例として日本中に浸透してくだろう。
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