欧米豪富裕層が求める宿泊体験とコンソーシアム ルレ・エ・シャトー会長フィリップ・コンベール氏

写真:© トラベルボイス

2018年8月末現在、世界60か国580軒の高級ホテルや高級レストランが加盟しているルレ・エ・シャトー。日本からも強羅花壇やあさばなどの旅館が加盟している。その会長を務めるフィリップ・ゴンベール氏が、富裕層旅行客を対象としたアプローチのポイント等について語った。

例えばアメリカでは、富裕層に特化した旅行会社経由でルレ・エ・シャトー加盟ホテルへ予約が入るケースが多い。特にこのような企業はOTA(Online Travel Agent)との契約の有無を重視する傾向があるという。商談会などで「OTAとの取引があるか」と問われるケースも少なくない。というのも、彼らの富裕層顧客は価格ではなく価値があるかどうかを重視するからだ。つまりOTAでは扱っていないようなホテルに価値を見出すということだ。

日本でもオンラインで簡単に宿泊予約できる仕組みが整っているが、上記の例から考えると欧米豪富裕層をターゲットとする場合はOTAを利用せず、彼らにのみしっかりと価値をPRできる方法を選択するのがポイントになるようだ。ホテルや旅館全てではなくても、特定の部屋やプランのみを対象とするのも良い。旅行会社であればルレ・エ・シャトーなどのコンソーシアムに加盟しているホテルや旅館のみに特化して、欧米豪富裕層にターゲットを絞るという戦略もあるだろう。

もちろん、オンラインが完全にNGだということではない。フィリップ・ゴンベール氏は「全てではないがオンライン経由も確実に増えている」とここ数年の変化について語っている。ルレ・エ・シャトーも投資を続けていくと言うスマートフォンアプリなどのモバイルIT技術の導入は特に不可欠な要素だと言えそうだ。

日本ではインバウンドビジネスが年々拡大傾向にあるが、一方で外国人富裕層の訪日割合が低いと言われている。しかし、フィリップ・ゴンベール氏は「日本のインバウンドの急速な成長に起因する一時的な現象」と見ている。日本への旅行に関心の高い外国人富裕層は多いと想定しており、ルレ・エ・シャトーでも5年以内に日本の加盟ホテル/旅館の10軒増を目指したいと語った。

ルレ・エ・シャトーだけでなく、世界には富裕層ビジネスに特化したコンソーシアムが多数ある。コンソーシアムへの加盟を目指すのは富裕層インバウンドビジネス上重要なポイントになっていくだろう。当社でもこのような動きを受けて、独自のコンソーシアム「HighNetWorth Business Consortium」を立ち上げ、日本における富裕層ビジネスの発展に寄与していく予定だ。

 

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